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トップ > お知らせ > 熟年離婚で後悔しないために|熊本の50代・60代が知っておく年金・自宅・退職金の整理を弁護士が解説
2026.10.21コラム
熟年離婚で後悔しないために|熊本の50代・60代が知っておく年金・自宅・退職金の整理を弁護士が解説

子どもが独立し、定年が見えてきたころに「この先もこのまま一緒に暮らしていくのだろうか」と考え始める方は少なくありません。熟年離婚は、若い世代の離婚と比べると、親権よりも「離婚後のお金と住まい」が話し合いの中心になります。年金・退職金・自宅という、やり直しのききにくい財産がまとめて動くからです。そこで本記事では、熊本・八代で離婚のご相談を多く扱う弁護士の視点から、熟年離婚を考え始めたときに先に確認しておきたい年金分割・退職金・自宅の整理と、熊本家庭裁判所での手続きの進み方を解説します。

熟年離婚の相談イラスト

熟年離婚とは?同居20年以上の離婚は全体の2割前後

熟年離婚という言葉に法律上の定義はありません。一般には、婚姻期間が20年以上で、50代以降に離婚するケースを指して使われています。厚生労働省の「人口動態統計」では、同居期間20年以上の夫婦の離婚は離婚全体の2割前後を占めるとされており(全国の数値であり、年によって変動します)、めずらしい選択ではなくなっています。

若い世代の離婚と大きく違うのは、争点の中心が子どもの親権ではなく、老後の生活費そのものになる点です。離婚後に働いて収入を取り戻せる期間が短いため、分け方を決めるときの一つの判断が、その後の暮らしに長く影響します。気持ちの整理より先に、お金の見通しを数字で確かめておくことが実務上は大切です。

年金分割|まず「年金分割のための情報通知書」を取る

年金分割は、婚姻期間中の厚生年金の報酬比例部分を夫婦間で分ける制度です。基礎年金(国民年金)の部分は対象になりません。「配偶者の年金の半分をもらえる制度」と理解されていることがありますが、分けられるのは、あくまで婚姻期間に対応する厚生年金の記録部分です。

手続きの出発点は、年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取ることです。これを確認しないまま離婚の条件を決めてしまうと、実際の分割の効果が思っていたものと違った、ということが起こります。熊本県内には熊本東・熊本西・八代など複数の年金事務所がありますので、最新の所在地と管轄は日本年金機構の公式サイトでご確認ください。

請求期限にも注意が必要です。従来は離婚の翌日から2年とされてきましたが、令和6年の民法等の改正(2026年4月1日施行)により取り扱いが見直され、離婚した日によって期限の考え方が変わります。ご自身のケースで何年以内に請求する必要があるかは、年金事務所または弁護士にご確認ください(本記事は2026年10月時点の情報です)。合意分割と3号分割の違いは 離婚の年金分割とは?合意分割と3号分割の違い・請求期限 で整理しています。

退職金と自宅|熊本では相続した土地の扱いが問題になりやすい

退職金は、支給の時期が近い場合には財産分与の対象として扱われるのが原則です。すでに受け取った退職金だけでなく、まだ受け取っていない場合も、婚姻期間に対応する部分を分与の対象とする考え方が実務で採られています。計算の一例としては、退職金の見込額に「婚姻期間÷勤務期間」を掛け、そのうち2分の1を目安とする方法があります。これは裁判例や実務で見られる一般的な考え方の一つであり、公的な統計に基づく確定値ではありません(2026年10月時点)。勤務先の退職金制度や離婚までの期間により結論は変わります。

自宅は、持ち家の比率が高い熊本ではとくに大きな論点です。住宅ローンが残っているか、残っている場合に自宅の評価額を上回っていないか(オーバーローンかどうか)で、結論が大きく変わります。くわしくは 住宅ローンが残る家の財産分与、退職金については 退職金は離婚の財産分与の対象? もあわせてご覧ください。

熊本でのご相談でよく問題になるのが、親から相続・贈与を受けた自宅や農地の扱いです。これらは婚姻中に夫婦が協力して築いた財産ではないため、原則として特有財産として分与の対象外と考えられます。もっとも、取得後に夫婦の収入で建て替えやリフォームをしていた場合など、一部が対象になりうるケースもあり、個別の事情により異なります。登記簿や相続の経緯が分かる資料を早めにそろえておくと、判断がしやすくなります。

熟年離婚で先に確認する5つのこと
図:熟年離婚で先に確認する5つのこと

離婚後の収支・健康保険・遺族年金で見落としやすい点

熟年離婚で後から問題になりやすいのは、財産の分け方そのものよりも、離婚後に毎月出ていく固定費です。次の点は、離婚の条件を決める前に確認しておきたいところです。

  • 健康保険…配偶者の扶養から外れるため、国民健康保険への切り替え、またはご自身の勤務先の健康保険への加入が必要になります
  • 遺族年金…離婚すると配偶者ではなくなるため、原則として対象から外れます
  • 相続…離婚後は相手方の相続人ではなくなります(お子さんの相続権は離婚によって影響を受けません)
  • 生命保険…受取人の変更をしないままにしていると、想定と違う方に支払われることがあります
  • 住まい…賃貸は年齢が上がるほど審査が通りにくくなることがあり、公営住宅は募集の時期が限られています

離婚後の健康保険・年金・手当の窓口や期限については 離婚後の健康保険・年金・児童扶養手当の手続き|熊本市・八代市の窓口 でまとめています。

熊本家庭裁判所での調停|本庁と支部、移動の負担への備え

話し合いで条件がまとまらない場合は、家庭裁判所に夫婦関係調整調停(離婚調停)を申し立てます。熊本県内には熊本家庭裁判所の本庁(熊本市)と、玉名・山鹿・阿蘇・八代・人吉・天草の各支部があり、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることになります。どの庁が窓口になるかは 熊本で離婚調停を申し立てるには?家庭裁判所の管轄と当日の進み方 もご覧ください。

50代以降の方からは、期日ごとの移動が負担だというお声をよくいただきます。電話会議やウェブ会議は、裁判所が相当と認めた場合に限って利用でき、初回の期日や調停成立のときは出頭を求められることがあります(離婚調停に遠方から参加できる?)。また、別居中の生活費については、離婚調停とは別に婚姻費用分担請求調停の申立てが必要です。調停が不成立になっても自動的に裁判に移るわけではなく、改めて訴えの提起が必要になります。

調停は、調停委員を介して話し合う手続きですので、進め方には事案ごとに適切な対応があります。年金や退職金のように資料を取り寄せないと見通しが立たない論点が多いのが熟年離婚の特徴ですから、条件を決める前の段階で一度ご相談いただくことをおすすめします。当事務所の弁護士については 弁護士紹介 をご覧ください。

まとめ

熟年離婚は、慰謝料や親権よりも、年金・退職金・自宅という老後の土台をどう分けるかが中心になります。年金分割は情報通知書を取ることから始まり、退職金は婚姻期間に対応する部分が、自宅はローンの残り方によって扱いが変わります。相続した土地のように原則として対象外となる財産もありますので、まずは手元の資料を整理することが出発点です。

熊本では、熊本家庭裁判所の本庁と6つの支部のどこが窓口になるかによって、手続きの負担も変わってきます。ご自身のケースでどの財産が対象になり、離婚後の収支がどうなるのかは、個別の事情によって異なりますので、条件を決める前に弁護士にご相談ください。

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監修:弁護士法人Si-Law(熊本県弁護士会所属・熊本市/八代市) 弁護士紹介 / 2026年10月21日 公開

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案の結論を保証するものではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。

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