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トップ > お知らせ > 専業主婦が離婚したらどうなる?財産分与(家・退職金)・養育費・年金分割など請求できるお金と離婚前の準備を弁護士が解説
2026.9.27コラム
専業主婦が離婚したらどうなる?財産分与(家・退職金)・養育費・年金分割など請求できるお金と離婚前の準備を弁護士が解説

「収入がないのに離婚して生活していけるのだろうか」「夫名義の財産ばかりで、自分には何も残らないのでは」。専業主婦の方が離婚を考えたとき、最初に立ちはだかるのはお金の不安ではないでしょうか。しかし、専業主婦であっても、家事や育児を通じて家庭を支えてきた貢献は法律上きちんと評価されます。そこで本記事では、専業主婦の方が離婚で請求できるお金と、離婚前にしておきたいことを、熊本・八代で離婚のご相談を多く扱う弁護士の視点から解説します(本記事は2026年9月時点の情報です)。

専業主婦の離婚とお金の相談のイラスト

専業主婦でも離婚はできる?まず知っておきたい結論

専業主婦であることを理由に離婚できないということはありません。夫婦の話し合い(協議離婚)で合意できれば、収入の有無にかかわらず離婚は成立します。合意できない場合は、家庭裁判所の調停、さらに裁判へと進むことになります。

大切なのは「離婚できるか」よりも「離婚後の生活を成り立たせられるか」です。専業主婦の方は、離婚前後で受け取れるお金を一つずつ確認し、取りこぼさないことが生活再建の土台になります。手続きの違いは協議離婚・調停離婚・裁判離婚の違いもあわせてご覧ください。

専業主婦が離婚で請求できる5つのお金

専業主婦の方が確認したいお金は、主に次の5つです。どれが請求できるかは個別の事情により異なります。

専業主婦が離婚で確認したい5つのお金
図:専業主婦が離婚で確認したい5つのお金
  • 婚姻費用:別居してから離婚が成立するまでの生活費です。収入の多い夫には、原則として妻と子の生活費を分担する義務があります。詳しくは別居中の生活費(婚姻費用)の解説をご覧ください。
  • 財産分与:婚姻中に夫婦で築いた財産を分けるものです。夫名義の預貯金や自宅、退職金なども対象になりえます。専業主婦の家事・育児も財産形成への貢献と評価され、実務では2分の1ずつが原則とされています。
  • 年金分割:婚姻期間中の厚生年金の記録を分ける制度です。専業主婦(第3号被保険者)だった期間は、夫の同意がなくても請求できる「3号分割」の対象になります。
  • 養育費:子どもがいる場合、子の生活費として請求できます。
  • 慰謝料:不貞行為やDVなど、離婚の原因が相手にある場合に請求できる可能性があります。性格の不一致だけでは認められにくいのが一般的です。

見落としやすい期限と2026年4月の法改正

離婚後に請求できるお金には期限があります。民法の改正(令和6年法律第33号、2026年4月1日施行)により、2026年4月1日以後に成立した離婚では、財産分与を請求できる期間が離婚から2年から5年に延びました。年金分割の請求期限も、令和7年の年金制度改正法により、2026年4月1日以後の離婚については原則5年に延長されています(それより前の離婚は原則2年のままです)。詳しくは年金分割の解説をご参照ください。

また同じ改正で、養育費を取り決めないまま離婚した場合でも、一定額を請求できる「法定養育費」が新設されました(法務省令で子ども1人あたり月額2万円とされています)。ただし、これは取り決めがない場合の最低限の仕組みであり、実際の生活費を十分にまかなえるとは限りません。離婚前にきちんと金額を取り決め、公正証書などの形に残しておくことが引き続き大切です。

離婚前にしておきたいこと

専業主婦の方は、離婚を切り出す前の段階でどれだけ準備できるかが、その後を大きく左右します。事案によって適切な進め方は異なりますが、一般的には次の点を確認しておくと安心です。

  • 夫婦の財産の把握:夫の給与明細、源泉徴収票、預貯金の通帳、保険証券、住宅ローンの資料などを、見られる範囲で確認・記録しておきます。別居後は資料が手に入りにくくなります。
  • 当面の生活資金と住まい:別居や離婚直後は引っ越しや生活用品などでまとまったお金が必要です。実家に頼れるか、住まいをどうするかも早めに考えておきましょう。
  • 離婚後の収入の見通し:ハローワークなどの就労支援を調べ、働き方のイメージを持っておきます。
  • 公的支援の確認:児童扶養手当やひとり親家庭向けの医療費助成などは、自治体によって内容や手続きが異なります。熊本市・八代市などお住まいの市町村の窓口で最新の内容を確認してください。

準備の全体像は離婚を決めたらまず準備することでも詳しく解説しています。

熊本・八代で専業主婦の方が離婚を進めるときのポイント

夫が話し合いに応じない場合や、生活費を渡してくれない場合は、熊本家庭裁判所(本庁のほか八代・天草などの支部)に離婚調停や婚姻費用分担請求調停を申し立てることが考えられます。婚姻費用は離婚調停とは別に申立てが必要で、申し立てた時点からの分が認められるのが一般的なので、別居したら早めに動くことが大切です。管轄や必要書類は変わることがあるため、最新の情報は熊本家庭裁判所の公式サイトでご確認ください。

収入がないため弁護士費用が心配な方は、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助を利用できる場合があります。当事務所の弁護士やご相談の体制は弁護士紹介のページでご覧いただけます。

専業主婦の財産分与は家・退職金・預貯金でどう変わる?対象になるもの・ならないもの

財産分与で最も金額が大きくなりやすいのは、自宅と退職金です。「名義が夫だから自分には関係ない」と考える方も多いのですが、婚姻中に夫婦で築いた財産であれば、名義にかかわらず分与の対象になりえます。

財産分与の対象になりやすいもの

  • 婚姻中に貯めた預貯金(夫名義・妻名義・子ども名義の口座も含めて確認します)
  • 婚姻中に購入した自宅や車、保険の解約返戻金
  • 退職金(すでに支給されたものだけでなく、将来支給される見込みのものも、事案によっては考慮されます)

対象になりにくいもの

  • 結婚前から持っていた預貯金や、親から相続・贈与された財産(特有財産と呼ばれます)
  • 別居後に新たに得た収入や財産

自宅(家)がある場合の考え方

自宅は「誰が住み続けるか」「住宅ローンをどうするか」で結論が大きく変わります。たとえば、自宅を売却して残ったお金を分ける方法や、一方が住み続けて他方に代償金を支払う方法などがあります。

注意したいのは、ローン残高が家の時価を上回る「オーバーローン」の場合です。この場合、分けられる財産がほとんど残らないこともあります。専業主婦の方が住み続けたいときは、ローンの名義変更を金融機関が認めるか、収入面で現実的かなど、個別の事情により判断が分かれます。

熊本市や八代市のご相談でも、「子どもの学区を変えたくないので家に住み続けたい」というご希望は少なくありません。ただ、夫名義のローンが残ったまま妻が住み続けると、夫が支払いを止めたときにトラブルになりやすいため、取り決めは書面に残すことが大切です。

退職金の扱い

退職金は、婚姻期間に対応する部分が分与の対象になると考えるのが一般的です。ただし、退職までの期間が長いと、将来受け取れるかどうかの見通しが不確実な場合もあります。会社の退職金規程や、現時点で退職した場合の見込額が分かる資料を確認しておくと、話し合いが進めやすくなります。

「専業主婦の離婚は悲惨」と言われるのはなぜ?離婚後の生活費と養育費の見通し

インターネットでは「専業主婦が離婚すると悲惨」といった言葉を目にします。背景には、収入がない状態で離婚すると、住まい・生活費・仕事探しを一度に抱えることになるという現実があります。

ただし、悲惨な結果になるかどうかは、準備と取り決め次第で変えられる部分が大きいものです。

離婚後の生活を支える収入源の例

  • 養育費(子どもがいる場合)
  • 財産分与で受け取った財産
  • 年金分割によって将来増える年金
  • ご自身の就労収入や、児童扶養手当などの公的支援

養育費の相場はどう決まる?

養育費は、一般に家庭裁判所で使われる「養育費算定表」を目安に、夫婦双方の収入と子どもの人数・年齢をもとに考えます。専業主婦の方は収入が低いまたはゼロとして扱われやすい一方、働けるのに働かないと見られると、一定の収入があるものとして評価される可能性もあります。具体的な金額は個別の事情により異なります。

養育費はいつまで受け取れる?

終期は、一般に20歳まで、または大学卒業(22歳になって最初の3月)までなど、夫婦の話し合いで決めることが多いです。成年年齢が18歳になったからといって、当然に18歳までとなるわけではありません。進学の見込みも含めて、離婚時に具体的に決めておくと安心です。

養育費を払わなくなったときの備え

養育費を決めても、あとで支払いが止まるケースはあります。公正証書にしておけば、支払いが滞ったときに強制執行の手続きをとれる場合があります。2026年4月の民法改正でも養育費の確保に向けた見直しが行われましたが、制度の細かな要件は個別の事情により異なるため、離婚前に弁護士へ確認されることをおすすめします。

専業主婦が「離婚できない」と感じたときに確認したいこと

「収入がないから離婚できない」と考えて、何年も悩み続ける方がいらっしゃいます。ここでは、動き出す前に整理したいポイントをまとめます。

先に別居するか、同居のまま進めるか

別居すると婚姻費用を請求できる反面、住まいの確保と当面の生活資金が必要になります。同居のまま話し合う場合は、財産の資料を集めやすい利点がありますが、精神的な負担が大きくなることもあります。どちらが適切かは、DVの有無や子どもの状況など、個別の事情により異なります。

相談の順番の一例

  • まず財産の資料と夫婦の収入の分かる資料をそろえる
  • 次に、請求できるお金の見込みを弁護士や自治体の窓口で確認する
  • そのうえで、別居の時期・住まい・就労の見通しを決める

熊本市・八代市とも、ひとり親家庭の支援や就労支援の窓口があります。内容や要件は自治体ごとに異なるため、最新の情報はお住まいの市役所・町村役場でご確認ください。

「離婚するかどうか決めていない段階」でも、弁護士に相談することはできます。見通しが立つだけで、気持ちが軽くなる方も多いです。

まとめ

専業主婦であっても、婚姻費用・財産分与・年金分割・養育費・慰謝料など、離婚にあたって確認すべきお金は少なくありません。2026年4月以後の離婚では財産分与や年金分割の請求期限が延びましたが、別居後は財産の資料が集めにくくなるため、早い段階の準備が生活を守ることにつながります。どのお金をどれだけ請求できるかは個別の事情により異なりますので、不安を一人で抱え込まず、お早めに弁護士へご相談ください。

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監修:弁護士法人Si-Law(熊本県弁護士会所属・熊本市/八代市) 弁護士紹介 / 2026年9月27日 公開

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案の結論を保証するものではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。

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