「離婚するつもりはないのに、配偶者が離婚届を勝手に出してしまうかもしれない」。別居中の方や、感情的なやり取りが続いている方から、こうしたご不安をうかがうことがあります。協議離婚は届出が受理されると戸籍に記載されるため、出されてしまった後の対応は簡単ではありません。そこで本記事では、離婚届の不受理申出という制度の中身と、熊本市・八代市の窓口での手続き、有効期間、そしてこの申出では止められない離婚まで、2026年10月時点の情報をもとに解説します。

離婚届の不受理申出とは|本人が窓口に来ない限り受理されない
離婚届の不受理申出は、あらかじめ市区町村に申し出ておくことで、申出をした本人が窓口に出頭して本人確認を受けた場合を除き、離婚届を受理しないようにしてもらう手続きです。戸籍法27条の2第3項・4項に根拠があります。署名のある離婚届を相手が持っていても、その提出だけでは戸籍の記載に至らない、という点がこの制度の意味です。
対象となるのは離婚届だけではありません。熊本市の案内では、婚姻・離婚・養子縁組・養子離縁・認知の5つの届出が対象とされています。手数料は無料と案内する自治体が多いものの、取扱いは自治体ごとに異なることがありますので、申出先の窓口でご確認ください。
- すでに離婚届に署名したが、条件が決まらないまま気持ちが変わった
- 別居中で、相手が勝手に提出しそうな不安がある
- 親権や財産分与の話し合いが途中で止まっている
こうした場面で使われる制度です。離婚届そのものの書き方や証人欄については離婚届の書き方|新様式(共同親権欄)と証人・提出先を弁護士が解説もあわせてご覧ください。
不受理申出の手続きの流れ|熊本市・八代市ではどこに出すか
申出は、申出人ご本人が戸籍の窓口に出頭して行うのが原則です。代理人による申出は認められていないのが一般的で、郵送も原則としてできません。熊本市は公式の案内で、不受理の申出については郵送では受け付けておらず、窓口に来てもらう必要があるとしています。

熊本市で戸籍の届出を担当しているのは、各区役所の区民課(戸籍班)です。中央区・東区・西区・南区・北区のいずれかの窓口が受付先になります。窓口の受付時間は、熊本市の公表によると令和8年(2026年)2月2日から午前9時〜午後4時30分に変更されています(電話での問い合わせは午前8時30分〜午後5時15分)。八代市では市役所の市民課(戸籍担当)が窓口です。受付時間や必要書類は変わることがありますので、お出かけ前に各市の公式サイトか電話でご確認ください。
持ち物は、顔写真付きの本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)が基本です。写真付きの書類をお持ちでない場合の取扱いは窓口によって異なります。なお、閉庁時間や休日は宿直・夜間の窓口で戸籍の届出自体を預かってもらえることがありますが、不受理申出はお取り扱いできないことがあります。平日の日中に窓口へお越しになるほうが安心です。
申出はいつまで有効か|期間の上限はなく取下げまで続く
かつては申出の有効期間が6か月とされ、続けるには再度の申出が必要でした。しかし、平成20年5月1日に施行された戸籍法の改正でこの期間制限は廃止され、現在は期間の上限がなく、申出人が取り下げるまで効力が続くものとして扱われています。申出をした後に引っ越しをしても、効力は続きます。
話し合いがまとまり、ご自身で離婚届を出す段階になったときの方法は二つあります。ひとつは、ご本人が窓口に出頭して離婚届を提出する方法です。もうひとつは、先に取下書を出して申出を取り下げてから、通常どおり届け出る方法です。取下げについてもご本人の出頭と本人確認書類が必要で、代理人では行えないのが一般的です。
不受理申出では止められない離婚もある
気をつけていただきたいのは、この申出が止められるのは協議離婚届のような「創設的届出」に限られるという点です。家庭裁判所の調停や判決で離婚が成立した場合の届出は、すでに成立した身分関係を報告する「報告的届出」ですので、不受理申出をしていても受理されます。
- 止められる:協議離婚の届出(相手が持参・郵送したもの)
- 止められない:調停離婚・和解離婚・判決離婚などの届出
そのため、不受理申出は離婚そのものを防ぐ手段ではなく、話し合いの段階で戸籍への記載を先に進ませず、条件を詰める時間を確保するための手続きだと考えるのが実際に近いです。相手方が離婚を求めている場合には、離婚調停や離婚訴訟を申し立ててくることが考えられます。熊本で調停になった場合の進み方は熊本で離婚調停を申し立てるには?家庭裁判所の管轄と当日の進み方で説明しています。
また、申出をしたこと自体を配偶者に知られないままにできるとは限りません。相手が届出をして不受理になった場合に、申出人へ通知する運用をとる自治体があります。不受理申出と離婚届が同じ日に出された場合は、先に受け付けられたものが優先されると説明されています。
すでに勝手に離婚届を出されてしまったときは
受理されてしまった後は、市区町村の窓口で戸籍の記載を直してもらうことはできません。離婚の意思がなかったことを前提に、家庭裁判所に離婚無効確認の調停を申し立て、話がつかなければ離婚無効確認の訴えを起こす、という流れが原則です。熊本県内では熊本家庭裁判所の本庁または八代支部などが窓口になりますが、どこに申し立てるかは相手方の住所地などによって決まりますので、申立て先は裁判所の公式サイトでご確認ください。
あわせて、署名を偽造された事案では私文書偽造などの刑事責任が問題になることもありますが、評価は事案によって異なります。いずれにしても、時間がたつほど当時の経緯を示す資料が集めにくくなりますので、気づいた段階で早めにご相談ください。離婚にまつわる手続き全体の見通しは離婚の手続きの流れとやること一覧にまとめています。
まとめ
離婚届の不受理申出は、ご本人が窓口に出頭して行う手続きで、期間の上限はなく、協議離婚届の受理を止める効果があります。一方で、調停離婚や判決離婚の届出は止められず、相手方が裁判所の手続きに進む可能性は残ります。熊本市は各区役所の区民課、八代市は市役所の市民課が窓口で、郵送ではできません。不受理申出を出すべきか、あわせてどのような準備をしておくべきかは、置かれた状況によって異なります。判断に迷うときは、弁護士にご相談ください。
※本記事は2026年10月時点の情報です。窓口の受付時間・必要書類・裁判所の管轄は変更されることがありますので、熊本市・八代市および熊本家庭裁判所の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
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※AIによる一般的な情報提供です。個別の法的判断は弁護士にご相談ください。
監修:弁護士法人Si-Law(熊本県弁護士会所属・熊本市/八代市) 弁護士紹介 / 2026年10月16日 公開
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案の結論を保証するものではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。