「離婚を決めたけれど、何から手をつければよいのか分からない」「届出を出したあとにも手続きがあると聞いて不安」――離婚の手続きは、役所に離婚届を出して終わりではありません。離婚前に決めておくこと、離婚の成立方法、成立後の役所手続きの3つに分けて考えると整理しやすくなります。そこで本記事では、離婚のご相談を多く扱う弁護士の視点から、手続き全体の流れとやることを順番に解説します。

離婚の手続きは「離婚前・成立・離婚後」の3段階
離婚の手続きは、大きく次の3段階に分かれます。
- 離婚前:親権・養育費・財産分与・慰謝料・年金分割などの条件を整理する
- 離婚の成立:協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚のいずれかで離婚が成立する
- 離婚後:戸籍・住民票・健康保険・年金・子どもに関する手続きを行う
特に見落としやすいのが3段階目です。離婚が成立しても、健康保険や年金、子どもの手当などは自動では切り替わらないことが一般的で、ご自身で届出や申請をする必要があります。

離婚前にやっておくこと:条件の整理と準備
離婚届は、お二人が合意して提出すれば受理されるのが原則です。そのため、お金や子どもの条件が決まっていなくても届出自体はできてしまいます。しかし、離婚後に条件を決め直すのは難しくなりがちです。離婚前に、次の項目を整理しておくことをおすすめします。
- 親権者と、子どもとの交流(面会交流)の方法
- 養育費の金額・支払期間・支払方法
- 財産分与(預貯金・不動産・退職金など)
- 慰謝料の有無と金額
- 年金分割の請求
準備の具体的な進め方は離婚準備でやることの記事で、財産分与の考え方は離婚の財産分与とはの記事で詳しく解説しています。なお、事案によって適切な対応は異なります。
離婚が成立するまでの4つの方法と手続き
離婚の成立方法は、話し合いで決める「協議離婚」、家庭裁判所の調停で決める「調停離婚」、調停が成立しない場合などに裁判所が判断する「審判離婚」、判決で決める「裁判離婚」があります。
協議離婚は、夫婦で話し合って合意し、離婚届を市区町村役場に提出する方法です。合意内容は離婚協議書にまとめ、養育費などの支払いが気がかりな場合は公正証書にしておく方法があります。
調停離婚は、話し合いがまとまらないときに、家庭裁判所に調停を申し立てる方法です。調停が不成立になっても自動的に訴訟へ進むわけではなく、離婚を求める場合は改めて訴えの提起が必要です。審判離婚は例外的な手続きで、異議が出されると効力を失います。熊本での申立て先や進み方は熊本で離婚調停を申し立てるにはの記事をご覧ください。
婚姻費用(別居中の生活費)を請求したい場合は、離婚調停とは別に婚姻費用分担請求調停の申立てが必要になる点にもご注意ください。
離婚届の提出と、調停・判決で離婚した場合の届出
協議離婚では、離婚届が受理された時点で離婚が成立します。届出は本籍地または住所地(所在地)の市区町村役場に行うのが一般的で、証人2名の署名が必要です。記載方法や2026年4月からの様式の変更点は離婚届の書き方で解説しています。
一方、調停離婚や裁判離婚では、調停の成立や判決の確定の時点で離婚そのものは成立しています。ただし、そのあとに市区町村役場へ届出をする必要があり、届出期限は成立・確定の日から10日以内とされています。調停調書や判決書などの書類が必要になるため、手元に用意しておきましょう。期限や必要書類は変わることがあるため、本記事は2026年10月時点の情報として、提出先の役所に事前にご確認ください。
離婚後にやる役所手続きのチェックリスト
離婚の届出後に必要になりやすい手続きを、一覧にまとめます。該当するものだけ、早めに進めましょう。
- 戸籍・氏(名字):結婚で姓を改めた方は、離婚により旧姓に戻るのが原則です。離婚時の姓を名乗り続けたい場合は、離婚から3か月以内に届出が必要とされています。
- 住民票:住所や世帯が変わる場合、転居届・世帯変更届などの手続きが必要です。目安として、変更から14日以内の届出が求められます。
- 健康保険:配偶者の扶養に入っていた方は、国民健康保険への加入や、ご自身の勤務先の健康保険への加入が必要です。
- 年金:配偶者の扶養に入っていた方(第3号被保険者)は、国民年金の切り替え手続きが必要になります。年金分割は請求期限があるため、早めに確認しましょう。
- 子どもの手続き:親権者が子どもと別の姓になる場合、子の氏の変更許可を家庭裁判所に申し立て、その後に入籍届を出す流れが必要です(子どもの苗字と戸籍参照)。
- ひとり親向けの支援:児童扶養手当やひとり親家庭の医療費助成など、市区町村ごとに制度があります。対象や金額はお住まいの市町村の窓口で確認してください。
- その他の名義変更:銀行口座、クレジットカード、運転免許証、保険、携帯電話、不動産や住宅ローンなど
上記の期限は、一般的な目安です。制度は改正されることがあり、個別の状況で異なる場合もあります。最新の取扱いは、各市区町村の窓口や公式サイトでご確認ください。
熊本・八代で手続きを進めるときのポイント
熊本県内でお住まいの市町村役場の窓口は、離婚後の手続きの入り口になります。本籍地が遠方の場合は、届出書類を郵送で提出できることもあるため、窓口に事前に相談すると安心です。また、調停を利用する場合の管轄は、原則として相手方の住所地などに基づいて決まります。熊本家庭裁判所の本庁のほか、八代・人吉・天草など各支部がありますので、どこに申立てをするかは裁判所の公式サイトでご確認ください。
離婚の手続きは、条件の取り決めを誤ると離婚後に取り返しがつきにくくなる場合もあります。特に、財産分与や養育費、年金分割は、ご自身だけで判断せず、弁護士に相談しながら進めるのも一つの方法です。
まとめ
離婚の手続きは「離婚前の条件整理」「離婚の成立」「離婚後の役所手続き」の3段階で整理できます。協議離婚か調停離婚かによって届出の流れが異なり、離婚後も戸籍・保険・年金・子どもの手続きが続きます。何から進めるべきか迷ったら、まず条件の整理から始め、必要に応じて弁護士に相談してください。事案によって適切な対応は異なります。
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監修:弁護士法人Si-Law(熊本県弁護士会所属・熊本市/八代市) 弁護士紹介 / 2026年10月6日 公開
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案の結論を保証するものではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。