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トップ > お知らせ > 退職金は離婚の財産分与の対象になる?将来もらう退職金の計算方法と請求の注意点を弁護士が解説
2026.9.19コラム
退職金は離婚の財産分与の対象になる?将来もらう退職金の計算方法と請求の注意点を弁護士が解説

「夫の退職金は、離婚したら分けてもらえるのだろうか」「まだ定年まで何年もあるけれど、将来の退職金も財産分与の対象になるのか」。長く連れ添った夫婦の離婚では、退職金が財産の中で大きな割合を占めることが少なくありません。一方で、まだ受け取っていない退職金は金額が確定しておらず、話し合いが難しくなりやすい財産でもあります。そこで本記事では、退職金が財産分与の対象になる場合と、将来の退職金の計算方法、請求するときの注意点を、離婚のご相談を多く扱う弁護士の視点から解説します(本記事は2026年9月時点の情報です)。

退職金の財産分与を相談する場面のイラスト

退職金は財産分与の対象になるのが原則

結論からいうと、退職金は財産分与の対象になり得ます。退職金は「働いたことへの後払いの賃金」という性質があり、婚姻中の勤務に対応する部分は、夫婦が協力して築いた財産と考えられるためです。家事や育児を担い、相手が働き続けることを支えた配偶者にも、原則としてその部分に対する取り分があります。

ただし、対象になるのは婚姻期間(同居期間)に対応する部分だけです。結婚前の勤務や、別居した後の勤務に対応する部分は、原則として対象外です。財産分与の全体像は離婚の財産分与とは?対象になる財産・ならない財産で解説しています。

すでに受け取った退職金の扱い

離婚の前にすでに退職金が支払われている場合、その退職金が預貯金などの形で残っていれば、財産分与の対象になります。婚姻期間中に対応する部分を計算し、原則として2分の1ずつ分けることになります。

注意したいのは、受け取った退職金を住宅ローンの返済や生活費などで使ってしまっている場合です。使われて残っていない部分は、原則として分ける対象になりません。ただし、ローン返済で自宅の価値に形を変えている場合などは、その自宅が財産分与の中で考慮されることがあります。自宅の分け方は住宅ローンが残る家は離婚でどう分ける?もご参照ください。

将来もらう退職金が対象になる場合

まだ受け取っていない将来の退職金は、将来支給される見込みが高いと認められる場合に、財産分与の対象とされるのが一般的です。これまでの裁判例や実務では、次のような事情が考慮されています。

  • 勤務先に退職金規程(退職金制度)があるか
  • 公務員や安定した企業など、支給される確実性が高いか
  • 定年退職までの残り年数がどのくらいか
  • 勤続年数や、これまでの勤務の状況

定年までの年数については「10年程度」をひとつの目安とする見方もありますが、これは実務で見られる一般的な目安であり、法律で決まった基準ではありません(2026年9月時点)。若い世代でも、公務員などで支給の確実性が高ければ対象とされた例もあり、事案によって判断は異なります。

将来の退職金の計算方法

将来の退職金をどう金額に置き換えるかには、いくつかの考え方があります。実務でよく使われるのは、基準時(別居時など)に自己都合で退職したと仮定した場合の退職金額を基に計算する方法です。

計算のイメージは「自己都合退職した場合の退職金額 ×(同居期間のうち勤務していた期間 ÷ 勤続年数)× 2分の1」です。たとえば、別居時に自己都合退職すると1,200万円、勤続30年のうち同居期間が20年であれば、1,200万円×20/30×1/2=400万円が一つの目安になります(あくまで計算例です)。定年が近い場合には、定年時の見込額から将来の分を差し引いて現在の価値に直す方法が採られることもあります。

退職金の財産分与を決めるまでの流れ
図:退職金の財産分与を決めるまでの流れ

見込額は、勤務先の退職金規程や、勤務先・共済などが発行する見込額の資料で確認するのが基本です。熊本・八代の地場企業では、中小企業退職金共済(中退共)や企業型の確定拠出年金など、会社の規程以外の仕組みで退職金を積み立てている例もあり、どの制度に加入しているかを最初に整理することが大切です。

支払時期と、話し合いで気をつけたい点

将来の退職金を分ける場合、「離婚時に一括で支払う」か「実際に退職金が支給されたときに支払う」かが大きな争点になります。支給時払いにすると、退職時に相手が支払わない、会社の業績や規程の変更で額が変わるなどのリスクが残ります。合意した内容は、支払時期や金額の決め方まで具体的に書面にし、離婚の公正証書にしておくことが考えられます。

相手が退職金の額を明かさない場合、離婚調停や審判の手続の中で資料の提出を求めていくことになります。財産分与の請求は、2026年4月1日施行の改正民法により離婚後5年以内とされました(施行日より前に離婚が成立した場合は従前の2年とされています)。期限や経過措置は個別に確認が必要ですので、早めに動くことをおすすめします。なお、退職金とは別に、厚生年金については年金分割という別の手続があります。

まとめ

退職金は、婚姻期間に対応する部分について財産分与の対象になり得ます。すでに受け取った退職金は残っている分が、将来の退職金は支給の見込みが高い場合に対象となり、自己都合退職を仮定した額などを基に計算するのが一般的です。ただし、対象になるかどうかや金額・支払時期は、勤務先の制度や定年までの年数などによって異なります。財産分与全体の進め方は離婚の財産分与で損をしないためにで解説しています。退職金が絡む財産分与でお悩みの方は、弁護士法人Si-Lawの弁護士にご相談ください。

監修:弁護士法人Si-Law(熊本県弁護士会所属・熊本市/八代市) 弁護士紹介 / 2026年9月19日 公開

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案の結論を保証するものではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。

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