「離婚後、子どもに会わせてもらえない」「相手と関わることに不安があるので会わせたくない」。親子交流(これまでの面会交流)は、熊本市や八代市のご相談でも養育費と並んで対立が長引きやすいテーマです。拒否されたときにまず確認したいのは、①なぜ実施できないのか(理由)と②いまの取り決めがどこまで具体的か(特定性)の二点です。正当な理由なく拒まれているのであれば、協議、家庭裁判所の調停・審判、履行勧告、場合によっては間接強制という流れを検討します。他方、虐待やDV、子ども自身の強い拒絶といった事情がある場合には、実施方法の制限や見直しが検討されることもあります。ここでは、離婚・不倫のご相談を多く扱う弁護士の視点から、決め方から実現までを熊本の手続に即して通しで整理します(2026年9月時点の情報です)。

親子交流とは|2026年4月から「面会交流」の呼び方が変わりました
親子交流とは、子どもと離れて暮らす親が、子どもと直接会ったり、手紙・電話・オンライン通話などで関わりを持ったりすることをいいます。改正民法(令和6年法律第33号)が2026年4月1日に施行され、民法766条1項の文言は「父又は母と子との面会及びその他の交流」から「父又は母と子との交流」に改められました。もともと「面会交流」は条文上の用語ではなく実務上の呼び方で、「親子交流」も条文そのものの文言ではありませんが、この改正を機に、法務省の説明などでは「親子交流」という呼び方が用いられています。直接会う方法に限らない多様な関わり方を含む趣旨とされています。相談の現場では今も「面会交流」と呼ばれることが多く、制度がまったく別物になったわけではありません。
あわせて、父母以外の親族(祖父母など)と子どもとの交流についても新たに規定が設けられましたが、これは子の利益のため特に必要と認められる場合に限られるものとされています。呼び方が変わっても、「子の利益を最も優先して定める」という基本の考え方に変わりはありません。
相手が拒否できる場合・できない場合
親子交流は、親の権利感情のためではなく、子どものための仕組みとして位置づけられています。そのため、「離婚のときにもめたから」「新しい生活を乱されたくないから」といった理由だけで、正当な理由なく拒むことは原則として認められません。
他方で、次のような事情がある場合には、実施方法の制限や、一時的な見送りが検討されることがあります。
- 子どもへの虐待や暴力のおそれがある場合
- DVやつきまといにより、同居親の安全・生活の平穏が脅かされるおそれがある場合
- 子ども自身が明確に拒絶している場合(年齢や理解力もふまえて判断されます)
- 子どもの連れ去りのおそれがうかがわれる場合
この場合も「会わせる/会わせない」の二択ではなく、第三者機関の立会いを利用する、受渡しだけ支援団体に任せる、短時間から始める、手紙や写真の送付といった間接的な交流に切り替える、といった中間的な方法が選ばれることもあります。判断は個別の事情によって異なります。
決め方の3ステップと熊本での手続
決め方は、①父母の協議、②まとまらなければ家庭裁判所の親子交流調停、③調停が不成立なら審判に移行する、という流れが原則です。申立先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所とされています。熊本県内には熊本家庭裁判所の本庁のほか、玉名・山鹿・阿蘇・八代・人吉・天草の6つの支部があり、相手方の住所地によって申立先が変わります(2026年9月時点の情報です。最新の情報は裁判所の公式サイトでご確認ください)。
費用は、収入印紙が子ども1人につき1,200円(全国一律・2026年9月時点)です。予納郵便切手は庁ごとに取扱いが異なるため、金額や内訳は申立先の家庭裁判所にご確認ください。書類は、申立書とその写し、事情説明書、進行に関する照会回答書、子の戸籍謄本などが求められるのが一般的です。期日はおおむね1〜1.5か月に1回のペースで進むことが多く、必要に応じて家庭裁判所調査官による調査や、試行的な親子交流が行われることもあります。
DV・モラハラ・つきまといの不安がある場合は、待合室を分ける配慮や、時間差での来庁、住所を相手に知られないための取扱いを、申立て時や期日前に裁判所・弁護士へ申し出ることができます。なお、家庭裁判所の家事手続案内は書類の書き方の案内までで、法的な見通しの判断までは行われません。手続の全体像は熊本で離婚調停を申し立てるには?家庭裁判所の管轄と当日の進み方もご参照ください。
あとで困らない取り決め方|「特定して決める」がポイント
決めておきたい項目は、頻度、1回あたりの時間、場所、子どもの引渡し(受渡し)の方法、連絡の取り方、宿泊の可否、学校行事への参加やプレゼントの扱いなどです。ここが実務上の最重要ポイントで、のちに相手が応じない場合に間接強制を求められるのは、調停調書や審判などで、日時または頻度・各回の時間・子の引渡し方法までが具体的に特定して定められている場合に限られるとされています。
- あいまいな定めの例:「月1回程度、子どもの様子を見て父母が協議のうえ実施する」「引渡し場所は追って話し合う」
- 特定された定めの例:「毎月第2土曜日の午前10時から午後4時まで。母は八代市内の○○駅改札前で父に子を引き渡し、父は同日同所で母に子を引き渡す。日程変更は前月末までに書面またはメールで協議する」

もっとも、細かく固めすぎると、子どもの成長や通学・部活動の予定、熊本市と天草・人吉など遠方間の移動の負担に合わなくなることもあります。骨格は特定しつつ、変更の手順も書き添えておく形が現実的です。
取り決めが守られないときの手順
調停調書や審判で定めた交流が実施されない場合、一般的には次の順で検討します。
- ①履行勧告:家庭裁判所から相手に実施を促してもらう手続です。手数料はかからないとされていますが、強制力はありません。
- ②再度の調停・審判:取り決め内容を明確化したり、事情の変化に応じて条件を変更したりする手続です。
- ③間接強制:実施しない場合に一定額の金銭の支払いを命じることで実施を促す手続です。子どもを無理やり引き渡させる直接強制の方法はとられません。利用するには、調停調書や審判といった執行力のある取り決め(債務名義)があることが前提で、父母だけで作成した協議書では原則として利用できません。また、取り決めが具体的に特定されている場合でも、子どもの年齢や意思、その後の事情の変化などによっては認められないことがあります。
拒否が続く事案では、親権者・監護者の変更や慰謝料が問題になることもあります。関連する論点は離婚後の親権者変更は認められる?家庭裁判所が重視する事情と手続きの流れもあわせてご覧ください。もっとも、これらが当然に認められるものではなく、子の利益や個別の事情によって判断されます。親権そのものの決まり方は親権はどうやって決まる?母親が有利と言われる理由と判断のポイントで解説しています。
まとめ
親子交流は、離れて暮らす親のためだけでなく、子どもが安心して父母との関係を続けるための制度です。拒否された側は、感情的に動く前に、拒否の理由と取り決めの具体性を確認することが出発点になります。拒否する側も、安全面や子どもの負担に不安があるなら、単に拒むのではなく、立会い・短時間・間接交流といった代替案を整理しておくことが、結果として子どもの負担を減らすことにつながります。
取り決めは「具体的に、実現できる形で」。熊本市・八代市のご相談でも、あいまいな取り決めが原因で数年後に再び争いになる例は少なくありません。話し合いが進まないとき、安全面の不安があるとき、決めた内容が守られないときは、早めに弁護士にご相談ください。手続の選択や取り決めの文言は、ご家庭の事情によって適切な形が異なります。
監修:弁護士法人Si-Law(熊本県弁護士会所属・熊本市/八代市) 弁護士紹介 / 最終更新:2026年9月14日
離婚・不倫のご相談は弁護士法人Si-Lawへ
弁護士法人Si-Law(熊本・八代)では、離婚や不倫に関するご相談を承っております。財産分与・慰謝料・親権・養育費など、お金と子どもの問題について、あなたにとって最善の解決を一緒に考えます。初回相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。
▶ 無料相談のご予約はこちら
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案の結論を保証するものではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。