ある日、家庭裁判所から自分宛ての封筒が届き、開けてみると配偶者が離婚調停を申し立てていた——。離婚調停を申し立てられた側(相手方)になると、「出なければいけないのか」「何を書いて出すのか」「離婚したくない場合はどうなるのか」と、分からないことが一度に押し寄せます。そこで本記事では、離婚調停を申し立てられたときに届く書類の意味、第1回期日までの準備、期日を欠席した場合の扱い、離婚に応じたくないときの考え方を、熊本家庭裁判所での実務にも触れながら整理します。本記事は2026年10月時点の情報に基づく一般的な説明です。

離婚調停を申し立てられると何が届くのか
配偶者が夫婦関係調整(離婚)調停を申し立てると、家庭裁判所から相手方へ書類が郵送されます。多くの場合、同封されているのは調停期日の呼出状、申立書の写し、そして自分の事情や意向を記入して返送する書類です。後者は「事情説明書」「進行に関する照会回答書」「連絡先等の届出書」などと呼ばれますが、名称や様式は裁判所によって異なりますので、同封の案内文に沿って確認してください。
ここで混同しやすいのが「答弁書」という言葉です。答弁書は主に訴訟(裁判)で被告が提出する書面であり、調停の段階では通常用いません。調停では、事情説明書や照会回答書、あるいは任意に提出する書面で自分の言い分を伝えるのが一般的な流れです。提出期限や部数は裁判所の指示に従うのが原則で、迷うときは封筒に記載された担当係へ問い合わせるのが確実です。
なお、申立ての際に申立人が納める収入印紙は夫婦関係調整調停で1件1,200円と全国一律ですが、相手方として呼び出された側が申立費用を負担することはありません。郵便切手の予納額は庁ごとに異なるため、金額は申立て先の家庭裁判所にご確認ください。
第1回期日までにしておきたい準備
呼出状に書かれた第1回期日までは、通常1か月前後の時間があります。この期間に何を整理したかで、調停での話の進み方は変わってきます。まずは申立書の写しをよく読み、相手が何を求めているのか(離婚そのものか、親権か、財産分与や養育費の条件か)を切り分けてください。

そのうえで、次のような資料を手元にそろえておくと、期日で具体的な話ができます。
- 直近の源泉徴収票・給与明細・確定申告書(収入に関する資料)
- 預貯金・保険・住宅ローン・年金などの資料(財産に関する資料)
- 子どもの生活や学校の状況、日々の関わりが分かるもの(親権・親子交流に関する資料)
- 相手の主張に事実と違う点がある場合、その根拠となる記録
期日の日程がどうしても合わない場合は、放置せず早めに担当係へ連絡してください。事情によっては期日の変更が認められることがあります。また、相手と同じ場所に居合わせたくない、つきまといやDVの不安があるという場合は、待合室を分けてもらうなどの配慮を期日前に申し出ておくことが大切です。
期日を欠席したらどうなるか
調停は話し合いの手続ですので、出頭を強制的に実現する仕組みはありません。しかし「出ないで放っておけば離婚にならない」と考えるのは危険です。欠席が続けば調停は進まないまま不成立となり、相手がそのまま離婚訴訟を提起すれば、今度は訴訟の場で判断されることになります。訴訟では欠席によって不利に働く場面があり、自分の言い分を伝える機会を自ら手放すことになりかねません。
また、法律上は、正当な理由なく出頭しない当事者に5万円以下の過料を科すことができる旨の定めがあります(家事事件手続法51条3項・258条1項)。実際に科されるかどうかは事案により異なりますが、呼出しを無視してよいという意味ではないことは押さえておく必要があります。
なお、調停が不成立になっても、自動的に訴訟へ移るわけではありません。離婚を求める側が改めて訴えを提起する必要があります。審判離婚という例外的な形もありますが、当事者の異議により効力を失うため、実務では多く用いられていません。調停不成立後の流れについては離婚調停が不成立で審判に移ると費用はいくら?もあわせてご覧ください。
離婚したくない・条件に納得できないとき
相手が離婚を求めていても、調停はあくまで話し合いですので、応じなければ成立しません。離婚に応じたくないときは、その意向と理由を事情説明書や期日で丁寧に伝えることになります。もっとも、調停が不成立となった後に訴訟へ進んだ場合は、法定離婚事由(不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、その他婚姻を継続し難い重大な事由)があるかどうかで判断されます。どのような事情が離婚事由として評価されるかは離婚の原因・理由とは?法定離婚事由と性格の不一致で整理しています。
一方、離婚自体はやむを得ないが条件に納得できない、という場合もあります。その場合は、財産分与・慰謝料・親権・養育費・親子交流といった論点ごとに、譲れる点と譲れない点を分けて考えるのが現実的です。別居中の生活費を確保したいときは、離婚調停とは別に婚姻費用分担請求調停の申立てが必要になる点にもご注意ください(婚姻費用を払ってくれない…別居中の生活費を確保する5つの手順)。事案によって適切な対応は異なりますので、方針は早い段階で弁護士と相談して決めておくと安心です。
熊本家庭裁判所で調停を申し立てられた場合
夫婦関係調整調停は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所に申し立てます。つまり申し立てられた側にとっては、自分の住まいの近くの裁判所で手続が進むことが多いということです。熊本県内では、熊本家庭裁判所の本庁に加えて玉名・山鹿・阿蘇・八代・人吉・天草の各支部に家事係が置かれており、八代市にお住まいなら八代支部、人吉市・球磨郡なら人吉支部といった形で振り分けられるのが基本です。最新の管轄や担当は熊本家庭裁判所の公式サイト、または呼出状に記載の担当係でご確認ください。
もっとも、合意管轄により熊本家庭裁判所本庁に申し立てられていることもあり、その場合は住まいから離れた庁に出向く必要が生じます。電話会議やウェブ会議の利用は、裁判所が相当と認めた場合に限られ、初回の期日や調停成立の際には出頭を求められることがありますので、通える距離かどうかは早めに見通しを立てておくとよいでしょう(離婚調停に遠方から参加できる?ウェブ会議・電話会議の使い方)。
書類の書き方そのものに迷ったときは、家庭裁判所の家事手続案内を利用する方法もあります。ただし案内されるのは手続や書式の説明までで、「この事案で離婚が認められるか」といった法的な見通しの判断は行われません。そこを含めて相談したい場合は弁護士にお尋ねください。
まとめ
離婚調停を申し立てられたときに大切なのは、届いた書類を正確に読み、期日までに自分の言い分と資料を整理し、そのうえで期日に出て話すことです。欠席して放置しても状況は良くならず、訴訟に移ったときに不利な材料だけが残ることがあります。
弁護士法人Si-Law(熊本・八代)では、離婚や不倫のご相談を多く扱う弁護士の視点から、呼出状が届いた段階でのご相談にも対応しています。熊本家庭裁判所の本庁と各支部のいずれで手続が進む場合でも、何をいつまでに準備し、期日で何をどう伝えるかを一緒に組み立てます。第1回期日までの時間は限られますので、封筒が届いた時点でお早めにご相談ください。事案によって適切な進め方は異なりますので、本記事は一般的な整理としてご活用ください。
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※AIによる一般的な情報提供です。個別の法的判断は弁護士にご相談ください。
監修:弁護士法人Si-Law(熊本県弁護士会所属・熊本市/八代市) 弁護士紹介 / 2026年10月25日 公開
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案の結論を保証するものではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。