離婚を決めたものの、「手元にお金がないので弁護士には頼めない」とためらっておられる方は少なくありません。別居したばかりで生活費の見通しが立たない、相手に給与を管理されていた、というご相談も熊本・八代でよくお聞きします。ただ、費用が払えないからといって、弁護士に依頼する道が閉ざされているわけではありません。そこで本記事では、離婚の弁護士費用が払えないときに使える法テラス(日本司法支援センター)の無料相談と費用立替の仕組み、利用できる収入・資産の基準、立て替えてもらったお金の返し方、そして熊本で相談するときの窓口と段取りを解説します。

弁護士費用が払えないときに考えられる選択肢
結論から申し上げると、手元資金が乏しいときにまず検討していただきたいのは、①法テラスの民事法律扶助(無料相談+弁護士費用の立替)、②弁護士費用の分割払いに応じている事務所への相談、③裁判所に納める実費の支払いを猶予してもらう訴訟救助の申立て、という三つです。
このうち中心になるのが①の法テラスです。費用を「免除」してもらう制度ではなく、法テラスがいったん弁護士費用を立て替え、依頼された方が後から少額ずつ返していく仕組みが原則です。立替であることを理解しておくと、後で返済の説明を受けたときに驚かずに済みます。
なお、調停や裁判を自分だけで進める選択もありますが、財産分与の対象となる財産の調査や、養育費・婚姻費用の算定、親権の主張の組み立てには専門的な判断が必要になる場面があります。どこまで自分で進めるかは、事案の内容と相手の出方によって変わります。
法テラスでできること|無料法律相談と弁護士費用の立替
離婚の場面で使える法テラスの支援は、大きく二つに分かれます。
- 法律相談援助…資力の基準を満たす方について、無料で弁護士に相談できる制度です。同じ内容の相談は3回程度までを目安に運用されていると案内されていますが、回数や予約の方法は地方事務所によって運用が異なることがあります。
- 代理援助・書類作成援助…協議・調停・裁判の代理や、申立書などの書類作成について、弁護士費用を法テラスが立て替える制度です。離婚では協議から調停、調停から訴訟へと段階が進むため、どの段階の援助を申し込むのかを最初に確認しておくことが大切です。

法テラスを利用できる収入・資産の基準(熊本の場合)
立替や無料相談を使うには、収入と資産が一定の基準の範囲内であることが原則です。法務省や法テラスが公表している基準の例では、単身の方は手取りの月収が18万2,000円以下、預貯金などの資産が180万円以下とされています(2026年10月時点の公表資料によるもので、同居家族の人数に応じて基準額は上がります)。東京・大阪などの大都市にはこれより高い基準が設けられており、熊本県はその大都市の区分には含まれないのが原則です。そのため、ご自身がどの基準で判断されるかは、お住まいの地域と世帯構成を前提に、法テラスの窓口でご確認ください。基準額は改定されることがあります。
離婚のご相談で特に知っておいていただきたいのが、配偶者の収入や資産は合算されないという扱いです。資力の審査は原則として同居するご家族の収入を合算して行われますが、夫婦間の争いである離婚・不倫のケースでは、相手方である配偶者の収入は合算しない取扱いがされているとされています。収入のない方や、ご自身のパート収入だけなら基準内に収まる方も、申込みの対象となり得ます。
また、家賃や住宅ローンを負担している場合には一定の限度で収入から考慮される仕組みがあり、生活保護を受給している方は収入・資産の基準を満たすものとして扱われるのが原則です。さらに、資力のほかに「勝訴の見込みがないとはいえないこと」「民事法律扶助の趣旨に適すること」も要件とされています。見込みの判断は事案によって異なりますので、相談の段階で率直に事情をお伝えいただくのが近道です。
立て替えてもらった費用はどのように返すのか
立替金は、援助決定の後から毎月少しずつ返していく(償還する)のが基本です。毎月の返済額は5,000円から10,000円程度で案内されることが多く、利息は付かないものとして運用されていると説明されています(2026年10月時点の一般的な案内であり、金額は事案やご事情により異なります)。
注意していただきたいのは、慰謝料や財産分与、解決金などのお金を相手から受け取った場合です。その場合は、立て替えられた費用について一括での精算を求められることがあります。「調停で解決金が入ったのに手元に残る額が思ったより少なかった」という行き違いを避けるため、受任の段階で返し方の見込みを弁護士と確認しておかれるとよいでしょう。
生活保護を受給している方は、手続中の返済が猶予され、手続終了後に申請をすることで返済が免除される扱いがあるとされています。免除は自動ではなく申請が必要とされていますので、該当する場合は担当の弁護士に必ず伝えてください。
法テラスを使うときに知っておきたい注意点
制度の利点は大きい一方で、離婚の実務では次の点がよく問題になります。
- 審査に時間がかかる…収入や資産を証明する書類をそろえ、審査を経る必要があるため、申込みから援助決定までに2週間から1か月程度かかることが実務上はよく見られます。急いで手を打つ必要がある事案では、この期間を見込んだ段取りが必要です。
- 弁護士を選びにくい場合がある…窓口から申し込むと、その日に対応する弁護士が担当になることがあります。相談したい弁護士が決まっている場合は、その弁護士を通して申し込む「持ち込み方式」が利用できるかを確認してみてください。
- 裁判所に納める実費は別に必要…離婚調停の申立手数料は収入印紙1,200円(全国一律)ですが、連絡用の郵便切手は申立て先の家庭裁判所ごとに異なりますので、金額は熊本家庭裁判所にご確認ください。実費の支払いが難しい場合は、訴訟手続において訴訟救助を申し立てる方法もあります。
審査を待つ間に相手が勝手に離婚届を出してしまう不安がある場合は、市区町村の窓口に離婚届の不受理申出をしておくという備えもあります。生活費に不安があるときは、婚姻費用の請求を先に進めて当面の生活を確保する方法も検討できます。事案によって適切な順番は異なります。
熊本で相談するときの窓口と進め方
熊本県内の窓口としては、法テラス熊本(熊本市中央区水道町)が民事法律扶助の申込み先になります。電話での一般的な問い合わせは法テラスのサポートダイヤル(0570-078374)でも受け付けられています。熊本県弁護士会の法律相談センターでも有料の法律相談の予約を受け付けており、予約電話は096-325-0009と案内されています(いずれも2026年10月時点の情報です。受付時間や窓口は変わることがありますので、最新の案内は各機関の公式サイトでご確認ください)。
八代市やその周辺にお住まいの方の場合、出張相談や相談会の開催状況はその時期によって異なります。八代での相談をご希望のときは、法テラス熊本または熊本県弁護士会にお問い合わせいただくほか、八代に事務所を置く弁護士に直接ご相談いただく方法もあります。離婚調停は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所などへ申し立てるのが原則で、熊本県内では熊本家庭裁判所の本庁と、玉名・山鹿・阿蘇・八代・人吉・天草の各支部が置かれています。詳しくは熊本で離婚調停を申し立てる手順をご覧ください。
当事務所でも、費用の見通しが立たないという段階からのご相談をお受けしています。分割のお支払いや、調停・審判に進んだ場合の費用の見込みについても、最初の段階でご説明します。弁護士費用の全体像は調停が不成立になり審判に移った場合の費用の記事も参考になります。どの弁護士に相談するか迷われる場合は、弁護士紹介のページもご覧ください。
まとめ
お金がないことは、弁護士への相談をあきらめる理由にはなりません。法テラスの民事法律扶助を使えば、資力の基準を満たす方は無料で相談し、弁護士費用を立て替えてもらって離婚の手続きを進められる場合があります。熊本県は大都市の基準区分には含まれないのが原則ですので、ご自身が基準に収まるかは窓口での確認が確実です。
一方で、審査に2週間から1か月程度かかることや、立替金を毎月返していくこと、相手から金銭を受け取ったときに一括精算となる場合があることは、あらかじめ知っておいた方が安心です。生活費の確保や離婚届の不受理申出など、審査を待つ間にできる備えもあります。離婚や不倫のご相談を多く扱う弁護士の視点から、ご事情に合った順番をご一緒に考えますので、まずはお気軽にご相談ください。個別の事情により適切な進め方は異なります。
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※AIによる一般的な情報提供です。個別の法的判断は弁護士にご相談ください。
監修:弁護士法人Si-Law(熊本県弁護士会所属・熊本市/八代市) 弁護士紹介 / 2026年10月23日 公開
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