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トップ > お知らせ > ダブル不倫の慰謝料は請求できる?相場・求償権・示談書の注意点を弁護士が解説
2026.10.9コラム
ダブル不倫の慰謝料は請求できる?相場・求償権・示談書の注意点を弁護士が解説

既婚者同士の交際、いわゆるダブル不倫が発覚したとき、「慰謝料を請求したいけれど、相手も既婚者だと話がややこしくなるのではないか」「逆に相手の配偶者から請求されたらどうなるのか」と不安になる方は少なくありません。ダブル不倫は、被害を受けた配偶者が双方にいるという点で、片方だけが不倫していた場合と進み方が大きく異なります。そこで本記事では、ダブル不倫の慰謝料を請求できる相手、金額が下がりやすい理由、目安となる金額と増減を左右する事情、請求の進め方、示談書に入れておきたい条項までを順に解説します。本記事は2026年10月時点の情報です。

ダブル不倫の慰謝料相談のイラスト

ダブル不倫とは?慰謝料を請求できる相手

ダブル不倫とは、交際している二人がいずれも既婚者である場合をいいます。法律上の呼び名ではありませんが、実務では既婚者同士の不貞行為を指す言葉として使われています。

配偶者に不貞行為があった場合、慰謝料を請求できる相手は、原則として自分の配偶者と不倫相手の双方です。二人が共同して夫婦関係を壊したと評価されるため、法律上は共同不法行為として、二人がともに責任を負うという考え方が取られています。

もっとも、双方に請求できるからといって、それぞれから満額を受け取れるわけではありません。慰謝料は「生じた精神的苦痛に対する賠償」として一つの金額が決まり、その金額を二人が分担して支払うのが原則です。一方から全額を受け取れば、もう一方への請求はその範囲で消えることになります。

なお、慰謝料を請求される立場になったときの対応は、不倫の慰謝料を請求されたときの考え方をまとめた記事で詳しく説明しています。

ダブル不倫で慰謝料請求が難しいといわれる理由

ダブル不倫で「慰謝料が取りにくい」といわれるのは、主に次の三つの事情が重なるためです。

  • 相互に請求が生じやすい…こちらが不倫相手に請求すると、不倫相手の配偶者がこちらの配偶者に請求するという形になり、両方の家庭に同じ問題が生じます。
  • 実質的に相殺に近い結果になりうる…夫婦が家計を共有している場合、受け取った慰謝料と支払う慰謝料が同じ家計の中で行き来するため、手元に残る金額が小さくなることがあります。法律上の相殺とは別の話ですが、交渉の場では現実的な考慮要素になります。
  • 求償権の問題が残る…不倫相手だけに慰謝料を支払わせた場合、その不倫相手は、自分の負担を超える部分について、こちらの配偶者に対して分担を求めることができます。これを求償権といいます。離婚せずに夫婦関係を続ける場合、結果として自分の家計から支出が生じることもあります。

こうした事情があるため、ダブル不倫では「いくら請求できるか」だけでなく、誰に、どの範囲で請求し、求償の問題をどう整理するかをあわせて考えることが重要になります。

ダブル不倫の慰謝料の目安と金額を左右する事情

慰謝料の金額には法律上の定めがなく、個別の事情を踏まえて判断されます。これまでの裁判例や実務で見られる一般的な目安としては、離婚しない場合は数十万円から百数十万円程度、離婚に至った場合は百万円台から300万円程度の幅で語られることが多いとされています。もっとも、これは公的な統計に基づく確定値ではなく、あくまで交渉や見通しを立てるための参考値です(2026年10月時点)。実際の金額は事案によって大きく異なります。

ダブル不倫の慰謝料をめぐる二つの立場
図:ダブル不倫の慰謝料をめぐる二つの立場

金額を左右しやすい事情としては、次のようなものが挙げられます。

  • 不貞行為の期間と頻度、関係の深さ
  • 不貞行為が夫婦関係の破綻や離婚にどの程度結びついたか
  • 婚姻期間の長さと、未成年の子どもがいるかどうか
  • どちらが関係を主導したか、発覚後に関係を続けたか
  • 当事者の収入や資産の状況
  • 発覚前の夫婦関係がどのような状態だったか

ダブル不倫では、これらに加えて双方に被害を受けた配偶者がいるという構図そのものが、金額の調整要素として扱われることがあります。相手方も同じ主張を抱えているため、純粋に片方だけが責任を負う場合よりも、合意額が抑えられる傾向が見られます。

請求の進め方と証拠の集め方

慰謝料請求は、おおむね「証拠の確認→相手方への通知と話し合い→合意できなければ調停や訴訟」という流れで進みます。離婚を伴わず慰謝料だけを求める場合は、話し合いがまとまらなければ訴訟を検討することになり、離婚とあわせて請求する場合は、家庭裁判所の離婚調停の中で話し合うことが一般的です。

出発点になるのは証拠です。不貞行為があったことを示す資料がなければ、相手方が事実を否定した時点で話が進みません。宿泊を伴う外出の記録、継続的なやり取りの内容、本人が認めた発言など、関係の内容と継続性が分かる資料がどれだけそろっているかが結論を左右します。どのような資料が評価されやすいか、集め方に問題がないかは、不貞行為の証拠について解説した記事と不倫の慰謝料請求の流れをまとめた記事も参考にしてください。

期間の制限にも注意が必要です。不法行為に基づく損害賠償請求は、損害と加害者を知った時から3年、または不法行為の時から20年で請求できなくなるのが原則です。発覚から時間が経っている場合は、早めに整理したほうがよいでしょう。

示談書に入れておきたい条項と熊本で相談するときに確認したいこと

ダブル不倫では、合意した内容を書面にする段階が特に重要になります。口頭の約束だけで終えると、後から求償を求められたり、関係が再開したときに対応できなかったりすることがあります。実務では、次のような条項を検討します。

  • 求償権に関する取り決め…支払った側が配偶者に分担を求めない旨を定めておくかどうか。ここを決めないままにすると、家計全体では解決にならないことがあります。
  • 接触の禁止と違約金…今後連絡や面会をしない旨と、違反した場合の取り扱い。
  • 口外禁止…双方の家庭や勤務先に関係が広がらないようにするための定め。
  • 清算条項…この合意で問題を終わりにする旨。範囲の書き方によって、後に残る請求の有無が変わります。

分割払いにする場合は、支払いが滞ったときに備えて公正証書にしておく方法もあります。書面の作り方という点では、離婚協議書の記載項目と条項の書き方の考え方が参考になります。

熊本県内でダブル不倫の問題を扱う場合、離婚とあわせて進めるのであれば、熊本家庭裁判所の本庁または玉名・山鹿・阿蘇・八代・人吉・天草の各支部が関わることになります。どこに申し立てるかは当事者の住所などによって決まり、取り扱う手続の範囲も庁によって異なりますので、最新の管轄は熊本家庭裁判所の公式サイトでご確認ください。弁護士法人Si-Law(熊本市・八代市)では、離婚や不倫に関するご相談を多く扱う弁護士の視点から、請求する側・請求された側のいずれの立場についてもお話を伺っています。見通しの立て方を含めてご相談されたい場合は、弁護士紹介のページもご覧ください。

まとめ

ダブル不倫の慰謝料は、配偶者と不倫相手の双方に請求できる一方で、相互の請求や求償権の問題が重なるため、片方だけが不倫していた場合と同じようには進みません。目安となる金額を把握したうえで、誰にどの範囲で請求するか、求償をどう整理するか、示談書にどの条項を入れるかまでを一体で考えることが、結果的に納得できる解決につながります。

どこから手をつけるべきか判断に迷う場合や、相手方から請求を受けて対応に困っている場合は、合意書に署名する前の段階でご相談ください。適切な対応は事案によって異なりますので、事情を踏まえた検討が必要です。

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監修:弁護士法人Si-Law(熊本県弁護士会所属・熊本市/八代市) 弁護士紹介 / 2026年10月9日 公開

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案の結論を保証するものではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。

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