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2026.7.16コラム
不倫(不貞行為)の慰謝料請求の流れ|相手・相場・時効を弁護士が解説

配偶者の不倫(不貞行為)が分かったとき、多くの方が最初に抱かれるのは「誰に」「いくら」「いつまでに」請求できるのかという三つの疑問です。慰謝料請求は、感情の整理がつかないうちに動くと、証拠が不十分なまま相手に警戒されてしまうこともあります。ここでは、熊本市・八代市で離婚・不倫のご相談を多く扱う弁護士の視点から、請求の相手方、金額の考え方、期間の制限、そして証拠の確保から書面での請求、交渉・訴訟までの流れを順に整理します。以下は一般的な説明であり、結論は個別の事情により異なります。

不倫の慰謝料請求の進め方
図:不倫の慰謝料請求の進め方

誰に請求できるのか

不貞行為は、配偶者と不貞相手が共同で行った行為と評価されるのが一般的です。そのため、配偶者と不貞相手の双方に請求できるのが原則です。もっとも、両方から二重に満額を受け取れるわけではありません。事案全体として認められる慰謝料の枠内で、一方から受け取った分は他方への請求から差し引かれるという調整がされる、という考え方になります。

また、不貞相手に責任を問うためには、既婚者であることを知っていたか、注意すれば知り得たといえるかが問題になります。配偶者が「独身である」「すでに離婚した」と偽っており、それを信じたことにやむを得ない事情があると判断される場合などには、責任が否定されることもあります。交際が始まった時点で夫婦関係がすでに破綻していたと評価される場合も、請求が認められにくくなる傾向があります。

請求の前提となる「不貞行為」と証拠

実務では、配偶者以外の人との肉体関係の有無が問題になるのが一般的です。親しく連絡を取り合っていた、二人で食事をしていたという事実だけでは、法律上の不貞行為と評価されるかは個別の事情によります。手がかりとなる資料としては、次のようなものが挙げられます。

  • ホテルや宿泊先への出入り、旅行の同行が分かる写真・記録
  • 関係をうかがわせるメッセージのやり取りや通話の記録
  • クレジットカードの利用明細、交通の記録、領収書
  • 配偶者本人が関係を認めた書面や録音

一つでは弱い資料でも、複数を組み合わせることで評価が変わることがあります。一方で、相手のスマートフォンに無断で不正アクセスする、住居に立ち入って録音機器を設置するなど違法性の高い方法で集めた資料は、後の交渉や裁判で使えないおそれがあるほか、ご自身が責任を問われかねません。集め方に迷った段階でご相談いただくほうが安全です。不倫問題を弁護士に相談すべきか迷われている方はこちらもご覧ください。

金額の考え方

慰謝料の額は法律で一律に定められているものではなく、婚姻期間の長さ、不貞の期間や回数、未成年の子の有無、発覚前の夫婦関係の状況、そして不貞によって婚姻関係が破綻したか(別居や離婚に至ったか)などを総合して判断されます。一般に、離婚に至った場合は、婚姻を継続する場合より高く評価される傾向があるとされています。

金額のイメージとして、婚姻を継続する場合は数十万円から100万円程度、別居や離婚に至った場合は100万円から300万円程度という幅が語られることがあります。ただし、これはこれまでの裁判例や実務で見られる一般的な目安であり、公的な統計に基づく確定値ではありません(2026年9月時点)。似た事情に見えても結論は一つではなく、目安を下回ることも上回ることもあります。

時効に注意

不法行為に基づく損害賠償請求には期間の定めがあり、損害および加害者を知った時から原則3年、不法行為の時から20年とされています(2026年9月時点の情報です)。ただし、いつを起算点と見るかは、不貞の発覚時期、関係がいつ終わったか、相手の氏名や住所をいつ把握したかなどによって異なり、一律には決まりません。

加えて、時間が経つほどメッセージや利用履歴は失われ、記憶も薄れます。期間の面でも証拠の面でも、気づいた段階で早めに見通しを立てる意味は小さくありません。

請求の進め方と示談書でよく問題になる点

典型的な流れは、①証拠の確保、②請求先と請求内容の検討、③内容証明郵便などによる書面での請求、④交渉と示談書の作成、⑤まとまらなければ訴訟等の検討、という順序です。請求を察知されると資料が消される可能性があるため、証拠の保全を先に行うのが一般的です。内容証明郵便は請求の日付と内容を残す方法として用いられますが、文面が強すぎて相手が態度を硬化させることもあり、事案に応じた調整が必要です。

ここで重要なのが、配偶者との関係を続けるのか、離婚するのかという点です。婚姻を続ける前提なら不貞相手のみへの請求という組み立てになり、離婚を選ぶなら財産分与や養育費と併せた全体設計が必要になります。なお、不貞相手のみを相手とする請求は民事訴訟として扱われるのが原則で、請求額に応じて簡易裁判所または地方裁判所が窓口となります。配偶者への慰謝料は、離婚と併せて家庭裁判所の調停・訴訟で扱われることが多く、熊本で離婚調停を申し立てる流れの中で位置づけを考えることになります。

見落としやすいのが「求償」です。不貞相手が支払った後、共同で責任を負う配偶者に対して負担部分の支払を求めることがあります。離婚せず家計を同じくしている場合、受け取った金額が結果的に目減りすることになりかねません。そこで示談書に、求償権を行使しない旨や清算条項の範囲、今後接触しない旨を明記する例があります。文言一つで後の紛争の有無が変わりますので、署名前の確認をおすすめします。

熊本・八代でご相談を受けるとき

ご相談では、まず「離婚するかどうか」と「慰謝料をどこに位置づけるか」を一緒に整理するところから始めます。慰謝料だけを切り離すのではなく、婚姻費用、財産分与、親権や養育費との関係で全体を考えることが大切です。熊本県内で家事事件を扱う家庭裁判所は、熊本家庭裁判所の本庁のほか玉名・山鹿・阿蘇・八代・人吉・天草の各支部があり、八代市やその周辺にお住まいの方は八代支部が身近な選択肢となることがあります。どの庁に申し立てるかは相手方の住所地など事案ごとの事情で決まります(2026年9月時点の情報です。最新の情報は裁判所の公式サイトでご確認ください)。

また、配偶者からのDVやモラハラ、付きまといが懸念される事案では、待合室を分けてもらう配慮や、相手に住所を知られないようにする取扱いを、申立ての際や期日前に裁判所または弁護士へ申し出ることができます。不安がある方は、無理に直接やり取りをせず、最初にその点をお伝えください。

まとめ

不倫の慰謝料請求は、請求の相手方、金額の考え方、期間の制限という三つの軸を押さえ、証拠の確保から書面での請求、交渉、訴訟へと段階を踏んで進めるのが基本です。あわせて、求償や示談書の文言といった見落としやすい点にも目を配る必要があります。離婚に伴う慰謝料が問題となるケースと重なる部分も多く、どの枠組みが当てはまるかは事情を伺わなければ判断が難しいところです。熊本市・八代市の周辺でお悩みの方は、証拠が失われる前の段階で見通しを整理しておくことをおすすめします。

監修:弁護士法人Si-Law(熊本県弁護士会所属・熊本市/八代市) 弁護士紹介 / 最終更新:2026年9月7日

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案の結論を保証するものではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。

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