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トップ > お知らせ > DVで離婚したいときの進め方と保護命令|要件・申立ての流れを弁護士が解説
2026.10.11コラム
DVで離婚したいときの進め方と保護命令|要件・申立ての流れを弁護士が解説

配偶者から暴力を受けていて離婚を考えているとき、最初に迷うのが「どうやって安全を確保しながら話を進めればよいのか」という点です。相手と直接話し合えば危険が増しますし、別居すれば居場所を知られないか不安になります。そこで本記事では、DVを理由に離婚を考えている方に向けて、法律が対象とする暴力の範囲、安全を確保するための手順、保護命令の要件と申立ての流れ、熊本・八代での相談先までを、離婚・不倫のご相談を多く扱う弁護士の視点から整理します。

DV離婚の相談のイラスト

DVは離婚の理由になる?法律が対象とする暴力の範囲

配偶者からの暴力は、殴る・蹴るといった身体的なものに限られません。配偶者暴力防止法(DV防止法)や実務では、大声での威圧や無視といった精神的な暴力、性的な行為の強要、生活費を渡さないなどの経済的な圧迫も、配偶者からの暴力として扱われることがあります。

離婚の場面では、こうした行為は民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たると判断されることが多いとされています。もっとも、どの程度の行為があれば離婚が認められるかは、行為の内容・頻度・期間や双方の事情によって異なり、一律には決まりません。法定の離婚事由そのものについては離婚の原因・理由とは?法定離婚事由(民法770条)の解説もあわせてご覧ください。言葉による攻撃が中心の場合はモラハラ離婚の証拠の集め方も参考になります。

安全の確保を最優先にした進め方の手順

DVが関係する離婚では、条件の交渉よりも先に身の安全を確保することが出発点になります。相手に離婚の意思を伝えた直後に暴力が激しくなる例もあるため、伝える時期そのものを慎重に検討する必要があります。

一般的な進め方は次のような流れです。ご自身の状況によって順番や取るべき手段は変わりますので、早い段階で相談窓口や弁護士に状況を伝えてください。

安全を確保しながら進める手順
図:安全を確保しながら進める手順
  • 配偶者暴力相談支援センターや警察に相談し、相談した記録を残しておく
  • 別居先を確保する。行き先がない場合は一時保護施設(シェルター)の利用を相談できる
  • 住民票や戸籍の附票について、市区町村に閲覧等の制限(支援措置)を申し出る
  • 診断書・写真・録音などの資料を、安全に持ち出せる範囲でそろえる
  • 必要に応じて地方裁判所に保護命令を申し立てる
  • 弁護士を窓口にして離婚の協議・調停を進める

別居のタイミングや生活費の確保は、その後の交渉にも影響します。離婚前に別居するメリットと注意点、別居中の生活費については婚姻費用の相場と請求手続きで詳しく説明しています。

保護命令とは|類型と期間・違反した場合

保護命令は、配偶者からの暴力や脅迫によって生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合に、裁判所が加害者に対して接近や連絡を禁じる制度です。離婚の手続きとは別の制度で、保護命令が出ても離婚が成立するわけではなく、逆に離婚しても保護命令の効力が自動的になくなるわけでもありません。

保護命令には、被害者への接近禁止命令、電話等禁止命令、子への接近禁止・電話等禁止命令、親族や勤務先などへの接近禁止命令、自宅からの退去等命令といった類型があります。令和6年4月1日に施行された改正配偶者暴力防止法により、接近禁止命令などの期間が従来の6か月から原則1年に延びたほか、自由・名誉・財産に対する加害を告げる脅迫も申立ての対象に加わり、命令に違反した場合の罰則も2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に引き上げられています。退去等命令の期間は接近禁止命令より短く設定されています。

類型ごとの要件や期間は法改正で変わることがあり、運用も裁判所によって異なります。本記事は2026年10月時点の情報ですので、最新の内容は申立て先の裁判所や相談窓口でご確認ください。

保護命令の要件と申立ての流れ・費用

保護命令を申し立てるには、原則として、配偶者からの身体的な暴力または生命・身体等に対する脅迫があったこと、そして今後さらに重大な危害を受けるおそれが大きいことが必要とされています。加えて、申立ての前に配偶者暴力相談支援センターや警察に相談していることが実務上重要になります。裁判所は申立てを受けると、これらの機関に書面の提出や説明を求める扱いになっているためです。相談していない場合は、公証人の面前で作成した宣誓供述書を提出する方法もあります。

申立先は地方裁判所で、家庭裁判所に申し立てる離婚調停とは窓口が異なります。申立書のほかに、暴力の内容を裏づける資料、警察や支援センターの相談記録、親族への接近禁止を求める場合はその親族の同意書などが必要です。現住所を相手に知られたくない場合は、住所の秘匿を求める上申書を添えることが考えられます。

手数料は収入印紙1,000円で、これは全国一律です(2026年10月時点)。このほかに連絡用の郵便切手を納める必要がありますが、必要な額や内訳は庁ごとに異なるため、申立て先の地方裁判所にご確認ください。申立て後は相手方の言い分を聴く手続(審尋)を経て判断されるのが原則で、発令までに一定の期間を要します。期間は事案や裁判所の運用によって異なり、急を要する事情があるかどうかで扱いも変わります。

熊本・八代でDV離婚を考えるときの相談先と裁判所

熊本県内で配偶者からの暴力について相談する場合、県の配偶者暴力相談支援センターや市町村の相談窓口、警察が窓口になります。全国共通の電話窓口としては、DV相談ナビ「#8008」や警察相談専用電話「#9110」があり、緊急時は110番です。保護命令の申立ては熊本地方裁判所(本庁・支部)が窓口になりますので、どの庁に申し立てるかは事前にご確認ください。

離婚そのものの調停は家庭裁判所の扱いで、熊本県内には熊本家庭裁判所の本庁と、玉名・山鹿・阿蘇・八代・人吉・天草の各支部があります。管轄や期日の進み方は熊本で離婚調停を申し立てる場合の管轄と当日の進み方で説明しています。

調停や裁判で相手と顔を合わせることに不安がある場合は、待合室を分ける、到着・退出の時間をずらすといった配慮を求めることができます。こうした配慮は自動的に行われるものではないため、申立ての時点か期日の前に、裁判所へ事情を伝えて申し出ておくことが大切です。弁護士に依頼していれば、相手との連絡の窓口を弁護士に移し、ご本人が直接やり取りしなくても手続きを進められます。ご相談を検討される場合は弁護士紹介もご覧ください。

離婚の条件で問題になりやすい点

DVが関係する離婚では、離婚そのものに加えて次の点が問題になりやすいです。いずれも事案によって適切な対応は異なります。

  • 慰謝料…暴力による精神的・身体的な被害に対して請求が考えられます。金額はこれまでの裁判例や実務で見られる一般的な目安があるものの、公的な統計に基づく確定値ではなく、暴力の内容・期間・後遺症の有無などで大きく変わります。
  • 婚姻費用…別居中の生活費は、離婚調停とは別に婚姻費用分担請求調停を申し立てる必要があります。離婚調停を申し立てただけでは請求したことになりません。
  • 親権…2026年4月に施行された改正民法では父母双方を親権者と定めることもできるようになりましたが、DVや虐待のおそれがある場合には、家庭裁判所が父母の一方を親権者と定めることとされています。
  • 面会交流…子の安全が確保できるかが重要な考慮事情になります。

まとめ

DVを理由に離婚を考えるときは、離婚の条件よりも先に、相談記録を残して安全な居場所を確保することが出発点になります。保護命令は離婚とは別の制度で、地方裁判所に申し立て、事前の相談実績と裏づけ資料が重要になります。手数料は収入印紙1,000円が原則ですが、郵便切手の額などは庁ごとに異なります。

どの手続きをどの順番で進めるかは、暴力の内容、同居しているか、子どもがいるかなどによって変わります。ご自身の状況に合わせた進め方を整理するために、早い段階で相談窓口や弁護士にご相談ください。

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監修:弁護士法人Si-Law(熊本県弁護士会所属・熊本市/八代市) 弁護士紹介 / 2026年10月11日 公開

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案の結論を保証するものではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。

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